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2025/07/01 相続税路線価とは…
相続税路線価とは、国税庁が毎年7月上旬に公表する「財産評価基準書」の中で示される、土地1㎡当たりの評価額です。これは相続税・贈与税を計算する際の基礎となるもので、都市部のほぼすべての道路(路線)ごとに設定されるため「路線価」と呼ばれます。公的価格には地価公示価格や都道府県地価調査価格など複数ありますが、相続税路線価はそれらのおおむね8割を目安に算定され、課税の公平性を確保する役割を担っています。
路線価は、国税庁が地価動向や取引実例、公示地価を総合的に分析したうえで、毎年1月1日時点の価格として定められます。公表方法はWeb上の「路線価図」と「評価倍率表」で、誰でも無料で閲覧可能です。市街地では道路ごとに「○○千円」と数字が記され、郊外や市街化調整区域など路線価の設定がない地域については、固定資産税評価額に倍率(評価倍率表)を掛ける方式で土地を評価します。
具体的な計算手順は、①対象地が接する道路の路線価を確認し、②㎡単価に地積を乗じて「奥行価格補正」など各種補正率を適用し、③形状・間口・角地・二方路線などの個別事情を反映させる、という流れです。たとえば不整形地や間口が狭い旗竿地は利用価値が下がるため補正率がマイナスとなり、逆に角地は利便性が高い分プラス補正が掛かります。宅地造成工事を要する傾斜地や私道負担地も、所定の減価割合で評価額を引き下げられるのが特徴です。
路線価を利用するメリットは、相続発生前からおおまかな土地評価額を把握できる点にあります。遺産分割の準備や相続税対策を講じる際、現金化や生前贈与の可否を検討する指標となるほか、売買価格を決める際の目安にもなります。また、同じ路線価でも補正率次第で評価額が大きく変わるため、節税を図るうえでは土地形状の改善や共有持分の整理なども有効です。
このように相続税路線価は、課税実務だけでなく生前の資産設計にも欠かせない重要な指標です。毎年更新される数値を把握し、自身の保有土地の評価を定期的に確認することで、円滑な相続と適正な税負担の実現につながります。
