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2025/09/02 相続時の『配偶者の特例』とは?

今回は「相続が起きた時に配偶者が受けられる特例」について解説します。配偶者は法律上もっとも厚く守られる立場にあり、相続税や遺産分割の面でも特別なルールが設けられています。知らずに手続きを進めてしまうと、大きな節税チャンスを逃す可能性もあるため、ぜひ押さえておきましょう。


1️⃣ 配偶者の法定相続分


まず基本となるのは「法定相続分」です。

相続人が 子どもと配偶者 の場合:配偶者は 1/2

相続人が 直系尊属(父母など)と配偶者 の場合:配偶者は 2/3

相続人が 兄弟姉妹と配偶者 の場合:配偶者は 3/4


つまり、誰が相続人になるかによって、配偶者の取り分は変動します。

 

2️⃣ 配偶者の税額軽減(相続税がほぼゼロになる最強の特例)


相続において、もっとも強力でよく利用される制度の一つが 「配偶者の税額軽減」 です。これは、残された配偶者の生活を守るために設けられた特別な制度で、簡単にいえば「配偶者が相続する分については、相続税がほとんどかからないようにする仕組み」です。


適用のルール


具体的には次の2つのうち、いずれか多い金額まで配偶者が取得した財産には相続税がかかりません。

 

①16,000万円までの財産

法定相続分までの財産


つまり、「16,000万円」か「法定相続分」か、どちらか大きいほうまで無税になるのです。

 

具体例でイメージ


例えば、相続財産が3億円あるケースを考えてみましょう。

法定相続人は「配偶者」と「子ども2人」

この場合、配偶者の法定相続分は 1/2(=15,000万円)

ここで、配偶者が 15,000万円を相続すれば、その金額は法定相続分の範囲内なので 相続税ゼロ です。

実際には配偶者が相続する金額が相当大きくても、課税されないケースが多いのです。

 

なぜこの特例があるのか

配偶者は相続発生後も生活を続けていく必要があります。住宅や預金、生活費を確保しなければならない立場であるため、国は配偶者に対して税負担を極力軽くし、安心して生活できるように配慮しているのです。


注意点と落とし穴

ただし、この特例を受けるにはいくつかの条件と注意点があります。

①相続税申告が必要

非課税だからといって申告不要ではありません。相続財産が基礎控除額を超える場合には必ず申告し、その中で「配偶者の税額軽減を使います」と申告書に明記する必要があります。

遺産分割が確定していること

申告期限(相続開始から10か月以内)までに遺産分割協議を済ませていないと、軽減が適用できない場合があります。

 ③二次相続の税負担が増える可能性

一次相続では配偶者に多く相続させれば税金はゼロになります。しかしその後、配偶者が亡くなったとき(二次相続)には、子どもだけで全財産を相続するため、税額が一気に増えるケースもあります。節税を意識するなら「一次と二次、両方を見据えた設計」が大切です。

 

3️⃣ 居住用不動産の特例(小規模宅地等の特例)

配偶者が住んでいた自宅を相続する場合、 小規模宅地等の特例 も適用できます。

自宅の敷地(最大330㎡)は 80%評価減

つまり1億円の土地が 2,000万円の評価額で計算されることに

これにより、配偶者が住み続ける家については大幅に相続税負担が軽くなります。


まとめ

「配偶者の税額軽減」は、相続税対策の中でもっともインパクトが大きい制度です。

実際、一次相続で配偶者が大部分を相続すれば、ほぼ相続税ゼロになるケースが多く見られます。ただし、その場しのぎで配偶者にすべて渡すのではなく、次世代への承継(子どもたちの二次相続)を考えたバランスの取れた分割が必要です。

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