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2025/09/09 二次相続リスクを踏まえた賢い遺産分割の方法

前回は「配偶者の税額軽減」について解説しました。一次相続では配偶者が相続すれば相続税がほとんどゼロになるケースが多いのですが、実はここに大きな落とし穴があります。それが「二次相続リスク」 です。

 

1️⃣ 二次相続リスクとは?

一次相続とは、例えば「夫が亡くなり妻が相続するケース」を指します。

この時、妻がほとんどの財産を相続すれば、配偶者の税額軽減により相続税はかからないかごくわずかです。


ところが、その妻が亡くなったとき(二次相続)には、相続人は子どもだけになります。

一次相続で配偶者に集中させてしまった財産はすべて子どもが相続することになり、税額軽減もなく高額な相続税が発生する というのが「二次相続リスク」です。

 

2️⃣ 二次相続リスクを回避するための考え方

 

二次相続を見据えた分割を行うには、以下のような工夫が必要です。

 

子どもにも一部を相続させる

配偶者の税額軽減をフル活用せず、あえて子どもに一定割合を相続させることで、二次相続時の財産総額を減らし、将来の相続税負担を分散できます。

 

相続財産の種類を分ける

預貯金、不動産、株式などを分散して相続させることで、子どもも将来の管理や納税資金を準備しやすくなります。

 

小規模宅地等の特例を最大限活用

自宅や事業用資産については80%評価減が可能。一次相続だけでなく二次相続も見据えて、誰が引き継ぐべきかを考えておくことが重要です。

 

3️⃣ 賢い遺産分割の実践例

 

例えば財産総額が1億円のケースを考えてみましょう。

 

すべてを妻に相続させた場合:一次相続は非課税だが、二次相続で子どもが1億円を相続相続税大幅負担。

 

7,000万円、子ども各1,500万円と分けた場合:一次相続で一定の税金がかかる可能性はあるが、二次相続で妻の財産が減るため総合的な税負担は軽減される。

 

つまり「一次相続でゼロにすることが最善とは限らない」ということです。

 

4️⃣ 遺言や生前対策の活用

 

二次相続リスクを避けるには、一次相続の段階から「遺言」や「生前贈与」「生命保険の活用」なども視野に入れるべきです。

 

遺言書に「子どもにも分ける」旨を残す

 

教育資金贈与や暦年贈与を活用して事前に資産を移転

 

生命保険金を子ども受取に設定して納税資金を確保

 

これらを組み合わせることで、配偶者も安心して生活を続けられ、子どもたちの将来の負担も軽くできます。

 

まとめ

 

「配偶者の税額軽減」は非常に強力ですが、それを100%利用すると二次相続でかえって負担が増えることがあります。

賢い遺産分割とは、

 

一次相続と二次相続を両方シミュレーションする

 

子どもにも早めに財産を分散させる

 

遺言や生前贈与で長期的に設計する

 

ことが大切です。

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